心地よさにつつまれて
ブルージーンズメモリー
心地よさ
K-0193
心地よくするには
FMをONした。僕がまだ高校生だった頃の当時のヒット曲だったと思う。いま僕は雨から、 みぞれにかすむ山あいの街に向かって走っている。
 
黄色の線から左に大きくうねるカーブを入って道の中央は、嫌だった家庭科の授業の運針早縫い競争のように白線になっている。今は車が右手のようにすいすい滑らかに動き、今 この状態が早縫い競争であれば良かったのにと、唄のテンポにアクセルが比例して標へと向かう。
 
古びた看板から標は自ずとわかった。 助手席の栗羊羹と一緒にここへ来た。家のものを整理しに来てくれという依頼が不動産屋を通して僕のところにやってきた。この思い出の家を、建物を泣く泣く手放すことになったそうだ。事情を知っていたけれど、先入観なしで主と話すことにした。
心地よさの笑顔
高166 奥44.5(最大)巾120 
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在庫有り

錆びたブルーの記憶を思い出させる色である
 
数日後またお邪魔するということでその地を後にした。荷台に大事に積んだ靴のディスプレイラック、早く言えば靴棚だ。隆盛を誇っていた時もあった。息子が街を出、娘が嫁ぎ最愛の妻を亡くしたそうだ。妻が毎朝店先に水を撒き、靴の表面を磨くのを楽しみにしていたんだよって、聞かせてくれた。歳がついていかなくなったという言葉の裏には近くに
できた大型のスーパーを垣間見た。妻を見送る時、店で一番素敵な赤い靴を抱かせて見送ったそうだ。どこの家にも心温かくなる話はあるであろう。こんな話を聞いて涙もろくなる僕ってもしかしたら、逆に幸せなのかもしれないと思った。
 
家路を急ぐ帰り道FMをONした。唄はメモリーグラス、水割りをください、と歌っていた。

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