海沿いの町での買い付けをし戻る途中お花屋の前にから出てくる男性がいた。右手にしっかりとアレンジメントのバスケットを持っていた。広がりからクジャクを思った。誰に送るのか、何かのお祝いなのかいろいろと、考えてみた。もしかしたらお誕生日のお祝いなのかな?って。でもきっと付き合ってる彼女に送る最高の花だと思った!!
海がもうすぐそこと見渡せる工場の事務所、そこで使われていた下駄箱を譲っていただいた。毎日通う社員の痕跡、靴底が板に染み入っている感じがした。わきの下に汗かいた真夏の日も、梅雨の時期、マイナスの温度に震えてる日々も彼らは通ってきた。そう思っているとなぜか愛着がわいてきたんだ、下駄箱、シューズラック。
ピンクのベストからせり出した真っ白なブラウス、お今思い起こせば彼女の性格からアイロンをしっかりかけてその日のために準備をしていたのかなって思う。確か時計のリストバンドもベストと同じ色であった。家の雰囲気がわかる写真を見せていただいたことがあってキッチンウエア、とりわけホーローが好きで熊の、ぬいぐるみも好きだった。
そんな彼女の影響からか赤と白のコンビのホーローを集めためたこともあった。それは彼女を少しでも知りたいという性急さをもって望んだことでもあって、何かしなくてはいけないかなという僕なりの僕に課した一種の試練でもあった。たまたま通りがかったケーキ屋、ウエストと肩までのヘアーの後姿がアピールしていた彼女。僕の誕生日前日の出来事であった。待ち合わせの公園でベンチに座って僕の大好きなシュークリーム食べたんだよ。明日は多くの方からお祝いをもらうからと、今日は私だけのあなたと言ったことを思い出した。
街にあったケーキ屋は甘い時間に溶けてしまったらしく不動産屋の貸し店舗の看板が掲げられてあの日のヘアースタイルは見ることもなくなってしまった。でも残り香のように近くを通れば思い出すこともないって言ったら嘘になるかもしれない。ケーキ屋隣のお花屋は多年草のように今も花を咲かせているんだ。お世話になったこともあった。そのたびに花言葉を調べて教えてくれた気がする。
海沿いの町の帰り道。記憶にとどめていた時間が回顧した。わきの下にかいた真夏の日、梅雨の時期も、この道を通って公園で待ち合わせをしていた。唇に右手の人差し指を当ててみたら彼女がよみがえってきた。濡れゆく皮膚の感触。
もしかしたら花屋から出てきたのは僕だったのかもしれない。